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< AOR系未CD化アルバム特集〜僕たちだけの秘密にしましょ>

A.O.R.(Adult Oriented Rock)というと、皆さんはどんな音を想像されるのでしょうか。そもそも A.O.R.というのは音楽のジャンル用語では無いので、「音」として説明するのは難しい。とはいえAirplay を聴き、Toto にハマって今日まで追いかけてきたモノは、やっぱり A.O.R.としか言いようがないのだろうと思います。最近は名盤の再発もあって盛り上がりつつある様ですが、まだまだ隠れたA.O.R.名盤がたくさんあります。そんなアルバム達をここであなたにだけ、そっとご紹介致します。「僕たちだけの秘密にしておいてね...」

  

Alan Sorrenti / Alan Sorrenti ('81 CBO)

過去に十数枚の作品をリリースし、本国イタリアではメジャーアーティストであるA. Sorrenti のアルバムです。5th『Figli Delle Stelle』('77), 6th『L.A. & N.Y.』('79), 7th『Dinotte』('80) という3作品で L.A. のセッションマンとコラボレイトしてきた彼は、今作で全曲英語詩のアルバムを作りました。前述の3枚のアルバムから選曲した楽曲を英語で歌いなおした作品がこれです。L.A. 録音でプロデュースが J.Graydon & G. Mathieson, そして参加ミュージシャンが Toto + Airplay ... とくればもう言うことはありません。何より、当時これが日本盤で出ていた事が嬉しいし、しかも後になって分かったのですが、日本でしかこの英語版アルバムは発売されていないのでした。

Byrne And Barnes / An Eye For An Eye ('81 CLIMAX)

Robert Byrne 名義で出した前作『Blame It On The Night』収録のタイトルチューンで有名な彼が、Brandon Barnes と組んでリリースした、実質的にはRobert Byrneの2nd Album となる作品です。このアルバム、あまり知名度がなくて評価が低いんですけど、とってもクオリティの高い曲が揃っていると思います。彼らの曲は様々なアーティストに提供されていますので、その実力は折り紙付きです。加えて、そのVo. のWarm さがたまりません。まさに王道を行く1枚です。そしてなんと 日本盤でしか発売されていないのです、これが。

Jaye. P. Morgan / S.t. ('77? CANDOR) 

リリース年すらはっきりしていない、ほとんど自主制作盤。D. Foster のプロデュースのもと、J. Graydon, L. Ritnour, J. Porcaro, D. Hungate, Tower of Power...信じられない様な面子が揃って、伝説の1枚となっています。このメンバーでアルバムの内容が悪い訳はありません。もしあなたがこれに収録されている楽曲を聴いたとしたら、間違いなくノックアウトされてしまうでしょう。何枚現存しているかも判らない物で、未だに国内の中古屋で見つかったという話しを聞いた事がない一品です。

Tim Feehan / Carmalita ('83 MUSTARD)

後にメジャーから数枚のアルバムをリリースし、映画「処刑ライダー」のテーマでも有名なカナダ出身のアーティストです。彼がアメリカ進出前に自主制作した『Footloose』『Sneak Preview』『Carmalita』という3枚のアルバムの中でも、特に素晴らしい出来を誇る1枚だと思います。気心しれた連中との息のあったプレイで作った曲の数々はどれも A.O.R. テイスト溢れた物であり、彼の Vocal はいつ聴いても文句のつけようがないですね。ブルーアイド・ソウル好きの私の中でも A.O.R. Best 3に入る傑作です。 というわけでこのアルバムはカナダでしかリリースされていません。

Peter Cupples / Half The Effort Twice The Effect ('84 MURCURY)

この人、実は今あちこちで話題になっているオーストラリア出身のグループ Stylusのボーカリスト なのです。4th『Part of It All』のリリース後にソロとなった彼の2nd Album なのですが、これがまたとんでもなく良い。適度にハードポップな傾向を加えた曲が多くなっていて、まさに Toto-Airplay 派には「生唾ごっくん」物でしょう。勿論、ソウルフルな彼の歌声は変わっていません。メジャーからのリリースなので、ひょんな所から見つかる可能性も?... とはいえオーストラリアでしか発売されていないのですが。

Avalon / Everyman A Kind ('82 Capitol)

同じレーベルで Pages を手掛けた B. Colomby プロデュースの3人組。路線的にはちよっとハードでエッジの効いたテイストになっていますが、やはり前年リリースのPages / S.t. を意識しているところがあると思います。メンバー構成は C. Cote (Key &Vo), R. Neigher (L.Vo & G), M. Mirage (G & Key & Vo)となっていて、サポートメンバーとして J. Wainding, M. Porcaro, V. Calaiuta, M. Isham といった名前も見られます。実はこのアルバムは4曲入りのミニアルバム。フルアルバムではないのが返す返すも残念です。メロディアス・ハードロック・ファンの方にも自信をもってお薦めできる名盤です。必聴ですよ。

Lisa Dal Bello / S.t. ('77 Decca)

このアルバムは、当時「恋するリーサ」の名前で邦盤もリリースされていたので、ジャケットを覚えている方もいるかも知れません。カナダ出身の女性ロック・ボーカリストです。D. Foster がプロデューサーを努め、J. Porcaro, S. Lukather, D.Hungate, D. Paich のToto勢や L. Carlton, B. Champlin, そして J. Graydon も参加しているという豪華なサポート陣が脇を固めています。しかし、何より素晴らしいのはそれらのバックメンバーではなく、彼女自身の V0. なのです。アップチューンからバラードまで、とても19才とは思えない歌唱力に誰もがヤラれてしまう事でしょう。次作『Pretty Girl』ともども、今一番注目したいアルバムだと思います。

Ian Thomas / The Runner ('81 Anthem)

自身名義で十数枚のアルバムをリリースしている I. Thomas 。これはカナダのマイナーレーベルから1枚で、かなり珍しいと思います。そして何より内容の素晴らしさを皆さんに知っていただきたいアルバムなのです。Santanaが『 Shango』でとり上げた <Hold On> は、完全にそれを凌駕している仕上がりですし、他の曲もまさにA.O.R. の王道を行く曲ばかり。メンバーは基本的に現地のスタジオミューシーシャンを使っているのでここでは挙げませんが、個々のテクニックは折り紙付きですし、何より I. Thomas 本人の歌がイイですね。ちょっとかすれた声が曲と良くマッチして抜群の雰囲気をかもし出しています。 そう、ご察しの通りカナダ盤のみのリリースです。

Body by Jake / Don't Quit ('84 MCA)

ヴィデオのサントラとしてリリースされたこのアルバム。何とオープニングでアルバムタイトル曲を歌っているのは Bobby Caldwell !! ... この曲をはじめとしてMichael Sembello, Leslie Smith, Joseph Williams といった実力者達が Lead Vo.をとっているという驚くべき作品なのです。バックミュージシャンも N. East, J.Gruska, M. Landau, J. Robinson, B. Champlin...ら素晴らしい面々が参加しています。楽曲も全曲が書き下ろしのオリジナルなので、他のアルバムでは聴く事ができないという代物... これでもあなたは「たかがサントラ」と言えるでしょうか。

Scott V. Smith / Face To Face ('84 Light)

この時代の Light Label は絶対の要チェックなんですけど、はっきり言ってこれは紹介したくなかったくらい良いです(笑)。9曲中4曲で Vo. をとっている M. Ruff を中心として、V. Sheppard, H. Smith, S. Tavani, M & B. Winans の Vo. 陣は素晴らしく、B. Maxwell (Drs), A. LaBoriel (B), J. Harrah (G), E. Marienthal(Sax) らのミュージシャン達も文句なしの出来だと思います。しかしそれにもまして凄いのが、Scott V. Smith 本人のプロデュースとアレンジです。C.C.M. の数々の名作を手掛けてきた彼ですが、この作品はピカイチでしょう。コンテンポラリー度では、セキュラーでリリースされている作品と比べてもかなりのレベルだと思います。

Bob Bailey / I'm Walkin' ('83 Light)

別に Light の回し者じゃないんですけど(爆)、これもですね。「ゴスペル」というと教会音楽のイメージが強いんですが、実はコンテンポラリーなポップスとして楽しむことが出来るブラック・ゴスペルがたくさんリリースされています。このアルバムも E. Greene(Ds), D. Belfield (B), P. Jackson Jr. (G), L. Williams (Key), J.Wainding (Key), T. Saviano (Horn) らのサポートで上質のブラコン・サウンドに仕上がっています。そして何と言っても重要なのがプロデューサー David Diggs の存在です。彼のプロデュース作はそう多くないんですが、それはそれは素晴らしい出来なんですよ。Bob Bailey のアルバムの中でもこの作品は飛び抜けていると思います。

 益川吉晴さん

ピーター・マッキャンにそっくりなお顔の益川さん。ダメな店主に事細かにAORを教えてくれた大江田の先生。最初のころは趣味の方向は少し違ったものの、だんだん大江田が益川さんのお好みのややハード・ポップなAORを快感とするように。やっと分かってきました、益川先生。このリストにピンときた方は、主宰されているホームページ Massy's Sound Box をチェックして、師の影を追いましょう。(大)

 


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