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Four Freshmen
/ 5 Saxes
(Capitol ECJ-60002) 1956年
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高校2年生の時文化祭で喫茶店をやることになり、BGM選曲係になった私が真っ先に向かったのはHi-Fiでした。いつ行ってもお店の方と他のお客さんが楽しそうに話していて「あのお店なら相談にのってもらえるかもしれない」と思ったからです。予感は的中、つい長居してお店にいらした大江田さんと阿部さんにいろんなレコードを聴かせてもらいました。そうこうしている間にレジの前の棚から私が悲鳴と共に引っ張り出したのが、このレコードでした。名盤と言われているのは数ある5
Instrumantal シリーズの中でも"5
Trombones"のようですが、私は中学生の時ラジオで聴いて忘れられなかった"Sometimes
I'm
Happy"の入ったこのレコードが1番好きです。曲の中に溶けてしまいたくなるコーラスと軽快なSaxとの絡みが、聴く度に私を新鮮な気持ちにしてくれます。もちろん文化祭の日、教室の隅で鼻高々にFour
Freshmenをかける私がいたことは言うまでもありません。
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L⇔R / Lack
of Reason
(Pony Canyon PCCA-00641) 1994年
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そんなFour
Freshmenを知ったのは、L⇔Rのラジオ番組からでした。大半は女子中高生というファンを相手に、私たちはGershwinもThe
BeatlesもJames
TaylorもABBAもWondermintsも好き放題に聴ける幸せな世代なんだということを教えてくれたL⇔R。音楽に誠実すぎたために目下活動は休止中ですが、このアルバムはそんな彼らの目指した音楽が一番自由に弾けた作品だと思います。Hi-Fiの店内でこのバンドの話題になった時にちょうど隣の部屋でレコードを選んでいた土橋一夫さんと知り合えたことも、忘れられない思い出です。
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The Righteous
Brothers / Back To Back
(Philles PHLP 4009) 1966年
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私が音楽ファンになったのは1992年、家には既にレコードもレコード・プレーヤーもありませんでした。でもふとしたことからこの"Back
To
Back"を手に入れ、これが聴きたい一心でお金をためてターン・テーブルを買いました。そして初めて自分の手でかけたこのアルバムから流れ出したA面の"God
Bless The
Child"を聴いた時、それまで持っていた安っぽい編集盤CDとは明らかに違った深い響きにただただ圧倒されました。それからレコードを大好きになったので、そんな意味でこのアルバムは私のレコード・ライフの原点だと言えます。"Ebbtide"よりも"God
Bless The Child"で反応したのは、Phil
Spectorの偉大さなんて少しも知らずに「ジャケットがかわいい!」という理由だけでこのアルバムに惹かれた私の特権だった気がしています。
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Larry Adler /
An Evening With Larry Adler
(DECCA DL 8908)
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私が幼稚園で一番最初に習った楽器、ハーモニカの奏者です。1994年、ラリーがGeorge
MartinプロデュースでGeorge
Gershwinのトリビュート・アルバムをリリースした時に知ったのですが、ライナーによるとそれは引退アルバムとのことでした。私は彼の甘ったるくてスピンするようなハーモニカが大好きで、高校生の拙い英語で何度も下書きし、79歳のラリーにファンレターを送り付けるという暴挙にまで出ました。それからずっと自分の心の中に大事にしまってひとり細々と聴いてきたのに、数年後Hi-Fiのレコード棚に当たり前のように入っていたのを見つけた時は驚きのあまり、「殿堂入り」を見届けたかのように誇らしい気分になりました。
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Butter Field
/ Early Autumn
(POR SUPUEST STAP-0530) 1995年
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オシャレな音楽が大嫌いだった私をはじめて降参させた、4曲入りミニ・アルバムです。1995年のある日、Hi-Fiの元店員さんだった関美彦さんがButter
Fieldというユニットを組んだと聞き、もっと詳しく知りたくなってお店に行きました。その時偶然にも関さんご自身が店内でレコードを選んでいて、はじまったばかりのButter
Fieldのラジオ番組のことを教えてもらいました。早速チェックすると、そこから聴こえてきたのは、レコード屋さんのサービス盤コーナーで両手を真っ黒にする私と、爪の長いオシャレに余念のない女の子たちが同じ気持ちで「いいね!」と言い合えるような優しいメロディー、優しい歌、優しい演奏でした。私にとっては世界中の何にも代え難い音楽、出会えてとても幸せです。
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Brinsley
Schwarz / Despite It All
(Capital ST-744) 1970年
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私がHi-Fiの店内を思い出す時、真っ先にレジ横の棚に飾られたNick
Loweのシングル盤のジャケットが浮かんできます。またHi-Fiで知り合ったり、仲良くなった人の多くがマイ・ペースなNick
Loweファンであることも手伝って、Nick
LoweやBrinsleyは個人的にHi-Fiを連想してしまう音楽です。Brinsleyの曲はどうにも煮え切らなかったり、聴くと脱力してしまうものが多いのですが、逆にそれが最大の魅力になっていることも含めて愛すべきバンドだと思います。そしてこのアルバムの"Country
Girl"をはじめとする素適な脱力ソングの数々は特に、私からHi-Fiにプレゼントしたくなるものばかりです。但しこの佳曲の数々を届けようと渋谷の道を急ぐ途中気持ちばかりがあせって転び、気が付くと少々不格好な贈り物になってしまいそうな予感もします。そんな時は、どうかご容赦下さい。
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Jimmie
Rodgers / My Rough & Rowdy Ways
(RCA VICTOR LPM-2112) 1960年
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迷わず選ぶ、私の無人島レコードNO.1です。Hi-Fiで、ジャケットに強く惹かれて買いました。Jimmie
Rodgersの生き方や曲が録音された年代を知ったのはアルバムを好きになった後のことです。静まりかえった真夜中に、自分の部屋で1人このレコードを聴いている時ほど音楽に神経を集中する瞬間、同時にほっとする瞬間はありません。歌詞のないヨーデル部分では、言葉で表現しきれないそれぞれの歌に込められた感情が止めどなく溢れ出していて、それを知る度に感動しています。
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The Dave
Clark Five / 5 by 5
(EPIC LN24236) 1967年
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1960年代に活躍した、LondonのTottenham出身のバンドです。あまりに好きなので1人でTottenhamを訪れたこともあります。そこには案の定DC5ファンのための観光地など何もなかったし、その後地下鉄と鉄道を乗り継いで行ったレコード屋さんでは傷だらけのシングル盤がタダ同然の値段で投げ売られていました。そんな風に時代を感じた今でも、曲を聴くと類のないその太さ、濃さ、荒さ、頑固さ、そして切なさ、繊細さ、どれを取っても「永遠にカッコいいバンド!」としか思えない瞬間は必ずやって来るから不思議です。一昨年大江田さんにお願いして紹介して頂いたHi-Fiファンの石川茂樹さんもDC5がお好きだと知り、お会いすると必ずDC5の話で盛り上がってしまいます。
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We All
Together / We All Together
(MaG STEREO-2422) 1972年?
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私にはじめて女の子のレコード友達が出来たのも、Hi-Fiが大きく関係していました。GREAT
3とButter Fieldが好きで愛読書はFinger
Poppin、加えてHi-Fiが好きということで急激に親しくなった2人の友達とは、もうホームページを共同運営する仲です。その「愛読書」Finger
Poppin'を編集したZESTの梶本聡さんを後に紹介してもらったのも、大江田さんからでした。このレコードはZESTで見つけて驚いた、70年代前半にペルーで活躍したバンドのレコードです。レノン・マッカートニーの曲をお腹いっぱいに吸収してすくすく育ち、「ビートルズが好きだ」という気持ちだけで作られたようなアルバムですが、自らの才能もなければ作れないA-1の"Children"、名曲です。
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Elvis Presley
/ How Great Thou Art
(RCA VICTOR LPM 3758) 1967年
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あるレコード屋さんでこのアルバムをレジに持って行った途端、リーゼントに皮ジャンの店長さん(初対面)に突然「そこに座りなさい」と言われ、閉店後の店内で何時間もElvisの話をしたことがあります。このアルバムのElvisは他のゴスペル・アルバムよりも比較的ゆったりとした曲を多く歌っていて、特にB面ラストの"Crying
In The
Chapel"ではとても静かな気持ちで自分と向き合っているのが伝わってきます。音楽に振り回された私の学生生活も今月で終わってしまいますが、卒業旅行はMemphisでElvisのお墓参りをしてくる予定です。帰ってきたらHi-Fiに行って"Crying
In The
Chapel"の話がしてみたいと密かに思っています。
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