Sounds Zounds! 稲葉将樹

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■友達のような音楽、音楽のような友達。



■Neil Innes / How Sweet To Be An Idiot
Side Aも素晴らしいのですが、 なによりこのB面を聴いて下さい。
素晴らしいです。やられます。しかも、かる〜く。
ぼくにとって、ほんとうに良い出会いでした。間違いなく、素晴らしい音楽だと思います。
でもこの音楽を「好きになってはいけない」、なんて思う人もいるかも知れません。
あなた自身の弱さを、強く感じさせてしまうことになるから。
でも、僕は違います。感服です。参ります。そこにいるのは、もしかしたら、真剣に笑いながら泣く彼の姿かもしれない。僕も一夜を共にまた泣いたりするんだ。一緒に思い耽る僕の友人。



■PortisHead / DUMMY
子供の頃の友人が出来た時。友人と毎日のように遊んだりする。
この音楽と出会った時の事、僕は一度目の大学受験のために上京していた。
地元では見つける事は出来ず、やっとの思いで手にしたのを鮮明に覚えている。
入試の為に大学近くのホテルに泊まっていたその日、夜には嬉しくて何度も何度も繰り返し聴いた。
そして楽しくなって、なんて凄い事になってんだろう、なんてことをずーっと考えたりした。なんだか恐ろしさを感じたりもした。
最近手にした時、また同じ音楽を聴かせてくれた。久し振りの再会。
思春期などに会った友人のうち何人かは永遠に残るものなんて聞いた事がある。
彼らは、僕にとってのそんな友人のひとりだ。



■Noah Lewis / Have You Seen My Baby ?
ノアルイスは、ノアルイズマーロンタイツの前身。
何度目かは覚えてないけど、ハイファイへ行きはじめて間もない当時、
WestCoastPopArtExperimentalBandのレコードを喜んで買った次の週だった。
「当店の店員のバンド」とコメントが書いてあった気がする。
よくわからずに試聴もすることなく手にとり、買って帰った。
とても、楽しみな気分だった。
こんな音楽を聴きたいんだっていう気持ちで、僕はいつもハイファイに行っていた。
そしてこのレコードも、気持ちに充分に答えてくれる内容だった。
感覚的なもので脳みその後ろの方に鳥肌が立つことがある。そして、そのレコードにはもう乾杯で完敗って感じ。
それを味あわさせてくれました。激ヤバシングルだ!
ありがとう、阿部さん・望さん・武ちゃん。



■Bloodthirthty Butchers / kocorono
高校、予備校、大学。いつもなにかが物足りないとか、自分の中のキーワードとなる言葉「加速」ということをふと考える事が多かった。恐らくその頃に出会った人にはそんなことを口走ったにちがいない。
しかし、その加速の定義すら感覚でしかなく、自分にとっても実態ははっきりと見えないものだった。
毎日の理由もなく、ただ生活する。興奮が欲しかったのか?
大学の3年から卒業までの2年間はそれを求め、その考えから離れた時期でもあった。
率先して、気分の盛り上がる場所にも足を運んだ。

思い入り乱れ、突き放し、寄り添い、気が狂ってしまいそうでも、落っこちてしまいそうでも、誰かの為に泪流したり、自分の為に笑ってみたり、衝動的に幻覚に陥って、爆発的に時を楽しみ......
ここには書ききれないほどの想いがある。
自己同一化っていう自分があまり好きじゃない言葉が有るけど
このアルバムには、いろいろなものが詰まっている。
たまらないくらいぼくは大好き。自分は、きっと自分には忠実なはず。
ぼくの中、傑作アルバム。



■The Velvet Underground
ヴェルヴェットアンダーグランド(1st)

バイトが休みの日にはレコードを探して御茶ノ水へ、ひとり出掛けた。
毎日深夜のバイトに行っていた真夏のある日の事。
太陽はこれでもかってくらいに照りつけ、汗がダラダラと流れる。
徹夜明けのせいか朦朧とした気分で、数年前に買ったこれを聴きながら、ふらふらと歩いた。麻痺するとはこのことか・・・なんて後から思った。
疲労感いっぱいでなにも考えられなかった日、この音楽と不思議な体験をした。



■Chet Baker / Let's Get Lost

 「なにが欲しいの?」。そんな言葉は意味をなさない。
「彼は、すべてを失ったの?」。失うべきように、流れて行ったのかも知れない。
明け方近く、思い出したようにこのレコードを聴いた。
痛いよ、痛すぎるよ。

鬱から逃げたかったりするときにこれを聴こうとは思わない。
なぜなら、ふたり、大きな悲しみのテーブルを挟んで、お互いの話なんて聞かずに、ただただふたりの心情を打ち明け、語るだけになってしまうだろうから。
自分の精神が健全な時だけ、聴く事ができるだろう。それによってどうなってしまうかなんて、考えないようにして。

一緒に肩組んで、落ちて行く事は望まない。
泣けてくるかも?でも、それでもいいじゃない。一緒にテーブルを囲んでそっと握手でもして、別れましょう。再会を待ってさ。




■plush / More you becomes you
ぼくの愛すべきピアノマン。まるでジョンサイモンか?はたまたブルートフォース?
光と影。たまらない。
先日、偶然にも来日していた。ぼくは、サインを貰った。とても嬉しかった。
このアルバムと出会ったのは、アメリカのインディーズ音楽に興味を持っていた頃。
毎週日曜日は新宿へ。
ハイファイへ行く前に、まずは新宿だった。
友人の佐久間と共に。「森田には、レコードのある渋谷、新宿は鬼門だ」って言ってた。
当時、彼と共に経験した音楽は最大の宝。青春の宝。宝をそっと見据えるように、またこのレコードに針を落とす。ポップに響くキラメキの一部。



■Beach Boys / Friends
名盤とされるこのレコード。無論、その通りだ!ってうなずく。
ぼくの好きな曲が、たくさん詰まってる素晴らしいレコード。
深夜、小さな明かりを点けて、聴いた事がある。
レコードが放つ光が、壁にきれいに円形を描いた。その時、奇跡のインストを聴いた。
ダイアモンド・ヘッド。
素晴らしい。そこに興奮と同時に安らぎを覚えた。



■Jonathan Richman & The Modern Lovers / egyptian reggae
それはぼくにとってジョナサンを聴く時にまず頭に浮かべる2枚のアルバムがある。
この曲の入ったアルバムは、なんだか隣の部屋でライブ演奏をしているようで、とても気分が良い。もう一つのアルバム、は、スタジオでライブ演奏をしているような感じ。
うぉーージョナサン!最高だ!
もっと聴かせてくれ。
いまぼくは、ノアルイズ以外にもうひとつバンドをやっている。
結成から結構たったけど、まともに練習したのは10回もないかもしれない。
でも、僕達は繋がっている。その要素には、ジョナサンも一枚噛んでいたりする。
そんな僕達の愛すべき音楽演奏家。気分は、ロックでしょ。やっぱ



■福岡史朗 / 一期の畝
素晴らしいシンガーソングライターと思います。良い曲が並んでます。
彼と出会ってから少し時間が経ちました。
彼は、友人なのだから友人の音楽ということになります。
不思議と魅力的な男で、どんどん音楽を生み出す真っ白な男です。
このアルバムを聴くといろんなことが思い出されます。
僕にとって、その場所、空間、時間を繋ぐ事のできる音楽の一つです。



森田文哉 
 大学時代は運動部でスキーをやっていたという体育会系にして、音楽に対して無垢の固まりのような感性を見せる文化系でもある。音楽集団 ノアルイズ・マーロン・タイツの一員。彼の演奏を聴いていると、俗に言われるところのアマチュアとプロの線引きが、それほどの意味合いを持たないように思えてくるのは、どうしてなのだろう。ライヴ会場にジャグ(瓶)を持ってくるのを忘れ、近くの酒屋でワイン瓶を買ってきたのは良いものの、開演前にほとんどを飲んでしまい、真っ赤になりながらブー、ブー吹いていた姿が忘れられない。それでも、酔っぱらわなかったそう。音楽には、体力が必要ということ?(大江田)



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